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映画「ハンナ・アーレント」は考えさせる映画だ、の巻

 ナチスの戦犯であるアイヒマンを裁いた裁判で、哲学者ハンナ・アーレントが書いた記事をめぐって起こった-つまり世界中で論争を引き起こした問題を焦点に取り上げながら、ハンナの生き様と家族関係をも描いたものである。
 ナチスの残虐行為=強制収容所でのユダヤ人の大量虐殺に関わったアドルフ・アイヒマンとはどんな人物なのか?ハンナ・アーレントの出した結論は何故激しい論争になったのか?について、考えさせてくれる。
 主演バルバラ・スコヴァ、マルガレーテ・フォン・トロッタ監督。ドイツ・ルクセンブルク・フランス合作映画。
   ○ ストーリー
 ドイツにおいて、大学時代は、ハイデッガーの弟子であったハンナ・アーレントはアメリカに亡命したユダヤ系ドイツ人で、現在では哲学の教授として高名な存在である。彼女の平穏な家庭生活から映画は始まる。ヘビースモーカーで、夫と知識人の親友たちとの会話でそのことがよくわかる。
 イスラエルの諜報機関モサドが南米でアイヒマンを逮捕し、彼をエルサレムで裁判にかけることになる。このことからアイヒマン裁判をハンナが傍聴し、ニューヨーカー誌にその記録を書くことになる。
夫や仲間たちの中には、アイヒマン裁判について、担当検事による「裁判ショー」にしてはならないという、冷静で批判的な意見を表明したりする自由な雰囲気のあることがうかがえる。
 そして、ハンナと夫との会話に、抑留キャンプでの悪しき追想が語られていく。その当時の極限的な精神状況が描写されていて心を打つ。
 アイヒマンの発言のモノクロフィルムが導入され、その証言を観るうち、ハンナは、「アイヒマンが反ユダヤじゃない?」「忠実に命令に従っただけ」「思考不能に陥った、怖いほどの凡人」であることに気づく。それを「悪の凡庸さ」と名付ける。そして、それらの『根源悪』が全体主義をもたらしたと分析するに至る。→これをニューヨーカーに掲載する。この結論は、今日では幅広く受け入れられてはいるが、当然のことながらユダヤ人同胞からの激しい反発と批判にさらされることとなる。
 ナチスの戦争犯罪にたいするユダヤ人の憎悪もあるだろう。同じユダヤ系のハンナをナチスの擁護者と決めつけるのもわかるような気がする。
 しかし、ハンナは毅然と反論する。そのために親友も失っていく。大学でも解雇を申し渡される。それにもめげず、ハンナは学生たちの前で理路整然と論じていく。最も印象的な場面だ。ハンナ役の演技も心にしみる。
 そして、彼女を完璧な人物像でなく、ハイデッガーとの若き日の関係(=不倫関係)も挿入して描いている。とにかく、人間の根源の悪について改めて考えさせてくれる映画だ。近年の傑作だと思う。
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サマンサどら猫

Author:サマンサどら猫
 FC2ブログへようこそ!ミステリ大好き人間ですw-。そして、冬以外はアウトドア系(山登り、ハイキング、ウオーキング、サイクリング、釣り)、日帰り温泉、旅行などの趣味を楽しんでいます。茶トラを飼っていて、名前がサマンサです。卓球やバドミントンも好きで、最近は弓道も始めました。

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