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石持浅海「心臓と左手」

心臓と左手  座間味くんの推理 (カッパ・ノベルス)心臓と左手 座間味くんの推理 (カッパ・ノベルス)
(2007/09/21)
石持 浅海

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 石持さんの独特の、「安楽椅子探偵」の明晰な推理が冴える短編集である。
 つまり、沖縄でのハイジャック事件の折、勇敢にも一人でハイジャック犯に向かっていった男性=「座間味くん」が、警視庁の大迫警視(特殊犯罪担当となっている)と語る形式をとっている。
 前回の短編集は、飲み屋やレストランで事件の概要を女性の刑事を交え、大迫警視から概要を聞き、座間味くんが事件に隠された本当の意味、そして意外なサジェスチョンを与えるという切り口の、ある意味で本格派のミステリであった。今回も同じ形式を踏む。書店で待ち合わせ、二人が飲食しながら話を進めていくというもの。
 ここでは7編が収められている。最後の1編を除いて、久しぶりで座間味くんに出合った警視が、彼を小料理屋に誘い、事件の話をきりだして、彼に意見を求めるという形で展開していく。
『貧者の軍隊』: 新宿の書店で見かけた座間味くんと再会、小料理屋に誘う。表題の過激派のテロ事件に関する話。テロ活動の拠点のマンションを警察が捜索。そこでグループの一人が密室殺人のような状況で死んでいた、というもの。座間味くんの密室トリックの解明、そして真犯人の指摘は鋭い。
『心臓と左手』: いつもの書店から海鮮料理の店へ。今回は、新興宗教に関わる事件だ。教祖が3人の信者により左手を切り取られ、胴体を切り裂かれていた。そして3人が互いに相手に切りつけたという。この一見むごたらしい事件を、座間味くんが例の調子で警視から細部を聞き出して事件に潜む謎を明るみに出す。ラストはユーモラスなテイストも用意されている。
『罠の名前』: 過激派組織「PW」に踏み込んだ警察の目の前での二人の人物の死。表面に見えていなかった裏の真実を、例によって焼き肉屋で警視から話を聞きながら、座間味くんが見破るのである。意外性が面白い。
『水際で防ぐ』: 一夜干しの美味しい店でビールを飲みながら、警視が環境保護団体のかかわる事件を説明していく。昆虫に隠された人間達の営みが見事に暴かれる話だ。
『地下のビール工場』: 貿易会社の社長が、地下の自家醸造のタンクで死んでいた。単なる平凡な事件の裏の隠されたとんでもない要素とは?警察の捜査の盲点をつく意外性のある結末が素晴らしい話。
『沖縄心中』: 大学の助手の女性と、その相手のアメリカ人との服毒自殺。そこに絡んだ沖縄の現状と、個人の影の側面を、炉端焼きの店で、座間味くんが警視の話から鋭く見破っていく。
『再会』: 昔のハイジャック事件の当事者の娘が成長し、沖縄に行って座間味くんと再会する。彼女の家庭の問題と、これからの将来のことが書かれた話。今までの事件の解明のトーンとは違った話である。
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No title

座間味くん、久しぶりです。
そういえば石持さんしばらく読んでないかな…好きな作家さんなので新刊もでてるでしょうね。
また、チェックしてみないとです。

No title

paraさんへ 〉 石持浅海お好きなんですか?私も「座間味くん」の推理を読んでファンになりました。4冊ぐらいしか石持浅海さんの本は読んでいませんが、発想が面白くて感心しています。今後も目を離せないと思っています。
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サマンサどら猫

Author:サマンサどら猫
 FC2ブログへようこそ!ミステリ大好き人間ですw-。そして、冬以外はアウトドア系(山登り、ハイキング、ウオーキング、サイクリング、釣り)、日帰り温泉、旅行などの趣味を楽しんでいます。茶トラを飼っていて、名前がサマンサです。卓球やバドミントンも好きで、最近は弓道も始めました。

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