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田中啓文「鍋奉行犯科帳 お奉行様のフカ退治」

 これは抱腹絶倒の講談的時代物だ。
 田中さんといえば、ジャズ・ミステリの傑作も何冊か有り、落語ミステリの笑酔亭梅寿謎解噺のシリーズ(愛川晶さんの落語ミステリと双璧)、そしてジャズに懸命に取り組む少女の成長物語である「ストーミーガール」がある。
 マイ・ブログでも引っ越し前、引っ越し後に紹介してきましたが、新たな読み物として紹介することになります。
 集英社は、『食い倒れ時代小説』というネーミングを使っています。適切かどうかわからないが、主人公は鍋奉行こと大坂西町奉行大邉久右衛門が粋な裁きをするシリーズものとでもいえばよいのか。
 彼はとてつもない大食らいで、健啖家。美味いものには目がない。そしてトドのように太った巨漢である。
 今回はシリーズの6冊目。
 『第一話 ニシンを磨け』『第二話 お奉行様のフカ退治』『第三話 苦い味わい』の3話が収められている。
 第一話では、ニシンのコンブ巻きを最初にさりげなく登場させ、乾物の仲間の内紛と、剣術か同士の闘争を絡めながら、お奉行様が見事に捌くという体裁になっている。
 大坂落語にも出てくる異色の食(めし)の旦那こと佐太郎をうまく配置し、人情話風に仕立てている。食の旦那が説く商売の秘訣が面白い。ここらへんが田中さんの描写の核心だ。
 第二話では、フカ(サメの大きいやつ)がよりにもよって、奉行所の水練稽古の場に出現。「ジョーズ」ばりに大口を開けて久右衛門らを襲うのだ。お奉行はフカの処理に人情話独特の裁きを見せる。それだけでなく、若い三味線の師匠と彼女にかかわる男たちも登場させてスパイスをきかせている。
 第三話は、釣り談義にページを割いている。そしてナマズ、化け物神社、偽札、キュウリ、河童などなど判じ物のようであるが、これらをうまく組み合わせて面白い噺に紡いでいるのだ。
 講談師の旭堂南海が解説で、講釈(講談)ネタが満載であることを書かれているのでそれも興味深いのだ。
 6巻から先に読んだので、前の5巻をまた読んで感想を書いてみますのでよろしく。
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浜矩子「EU消滅」のインパクトの巻

  これは刺激的な本だ。副題は、『ドイツが世界を滅ぼすか?』だ。大体この人はきっぱり、ズケズケものを言うタイプに属する。なので、文章も歯切れがよくて小気味よいのである。
 この本は、特に戦後のヨーロッパの歴史を土台に置いてしっかり分析しているから説得力がある。
 欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)からはじまって、EEC、EC、マーストリヒト条約を経て「EU」の結成、そして「ユーロ」という単一通貨の導入を実にスリリングに描いているといってもよい。
 その際、独・仏の関係、英・仏の関係を中心におきつつ、政治面と経済面での協力関係をはめ込んでいる。読んでいてついニヤリとさせられるのは、ビートルズの「マジカル・ミステリー・ツアー」をもじって「マジカル・ヒストリー・ツアー」と表現したりのユーモアもあるのだ。
 そして、政治家として、チャーチルから始まって独のアデナウアーと仏のド・ゴール、そしてメルケルへの橋渡しを丁寧に説明する。
 特に題名にかかわって、EUの未来については、幾つかの欠点(ギリシャ問題、実利的なイギリスの行動、旧東欧諸国の動き、難民問題など)を指摘しつつ、メルケルの内心?にまで踏み込んで、エールを送っているようにも思われるが、いかがなものであろう?

「デッド・オア・アライヴ」江戸川乱歩賞作家アンソロジー

 江戸川乱歩賞作家ったちの作品を集めたものである。
 それぞれに作風や工夫があり、やはり読んで面白いのだ。
薬丸岳『不惑』: これはサスペンス・タッチで、過去のある出来事と現在の同窓会と結婚披露宴をつなぐ動きがスピーディに描写されている。
 高校の同窓会の会場(ホテル)では不惑を迎えた人物たちが集っている。その隣では披露宴が華やかに催されている。
 元Jリーガーの窪田にとってはある不幸な過去の事件が陰を落としている。そのことで彼はある人物に殺意を抱いているのだ。その少年Aとは?さらに、同窓の友人たちがとった行動とは?
 特に刑事である夏目と窪田との会話の中に、人生の哀しみと苦しみがあって心を打つのだ。
竹吉優輔『イーストウッドに助けはこない』: 俺(甥っこ)と叔父の力弥の関係が軸になって話は進行する。子どもの頃の叔父と甥がイーストウッドの西部劇に馴染んでいた回想が下糸となっており、現在の力弥の拘束とヤクザの絡みが上糸を紡いでいる。
 表面は、どろどろしたヤクザの抗争を描きつつ、独自のユーモアと明るさが基調となっており、ラストでの爽快感につながっている。
横関大『クイズ&ドリーム』: 心中にある思惑を持った主人公が、謎の男にホテル内で拘束された。理由もわからない状況の中で、クイズ形式のやりとりで生死をかけた賭をするという設定だ。SFのテイストを練り込んだサスペンス・タッチのミステリだ。
遠藤武文『平和への祈り』: 懐かしい。昔流行ったケサランパサランを小道具として登場させながら、乱歩賞を過去に受賞した主人公の推理作家がホテルの贈賞式に出席をするという設定自体にユーモラスな味わいがある。
 そこに聖書のヨハネの黙示録の第7の封印の話をからませて奥行きを広げ、それと街角で彼が遭遇するある事件、さらにはある脱獄事件まで登場させ、力業でを無理矢理?くっつけながら?(この発想、ホラ話の類いは嫌いじゃない)展開していく。
鏑木連『終章~タイムオーバー~』: 題名にふさわしい緊迫感のある一編だ。最後まではらはらどきどきさせる展開は見事である。
 新興ベンチャー企業の社長日下凜子、婿養子の副社長琢郎、専務の山戸、社長秘書青柳摩耶。この4人のそれぞれの動きと言動が巧みに織り込まれ、凛子と琢郎に毒を盛った犯人捜しとサスペンスフルなストーリー展開に読み応えがある。

「不可能犯罪コレクション」二階堂黎人編

 新鋭作家6人による6作品が収められている。
大山誠一郎『佳也子の屋根に雪ふりつむ』: 幾つかの仕掛けのある、そして意外性のある一編。
 婚約者から引きはがされ世をはかなんだ笹野佳也子が自殺未遂から物語は始まる。三好達治の「太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ」の詩ががよく効いている。
 親友秋穂と、佳也子が入院した病院の女医典子。そして目覚めると佳也子は典子の死体を発見。加害者との疑いをかけられる。
 雪の上の足跡も一人分しかない、つまり密室殺人だ。
 そして、密室蒐集家という謎の人物が登場し、この不可能犯罪を明快に解き明かしていく。
岸田るり子『父親はだれ?』: サスペンス色の強い作品。
 実験用マウスを使って研究にいそしむ七菜子。彼女が高校の同級生龍子の自殺事件をめぐり、元教員の夫や当時のクラスメイトを訪ね歩いて事件の真相にたどりつくが、最後のオチも効いている。
鏑木 蓮『花はこころ』: 能と能舞台が主たる異色の作品。
 能の仕組み、内容がきめ細かく描かれている。地謡の紙屋鞠子の目をとおして、能舞台での演者玄治の死をめぐる謎解きである。能の奥深さがせまってくるミステリの傑作である。
門前典之『天空からの死者』: 建築&探偵事務所の蜘蛛手と僕(宮村達也)、宮村の視点で事件の発生と謎解きで話は進む。
 蜘蛛手の設計したビルに隣接する水谷テントという小会社に二人が行くことになり、ビルからの飛び降り死にかかわることとなる。鍵のかかった屋上からの落下という一種の密室での犯罪だ。
石持浅海『ドロッピング・ゲーム』: 石持さんは作品も多く(私も何冊か持っている)、新鋭とはもはや言えないが。
 近未来の日本にアメリカからやって来て10年になる小学校の英語教師ヒル。
 この時代の日本では、12歳でふるいにかけられて子どもたちの未来と仕事が決定--つまり、競争と選別が徹底しているシステムが構築されている。
 それまで仲良しカルテットであった4人の間に進路決定という過酷な現実が挟まり、遂にヒルの目の前で翔一の飛び降り自殺が遂行されるのであった。治安警察の番匠大尉が調査するが、自殺の原因をヒル先生が解明する。しかし、その後の事実も書かれており、ブラックユーモアのテイストもあるのだ。さすがというべきだろう。
加賀美雅之『「首吊り判事」邸の奇妙な犯罪』: 探偵シャルル・ベルトランが見事な推理を披露する一編であり、古色蒼然たるイギリス風密室ミステリのテイストだ。 アプリコット・ブランデーをすすりながらのシャルルの話し相手がパトリック・スミス。この二人が、シャーウッドの森近くの、おどろおどろしい雰囲気を漂わせる「首吊り判事邸」に赴く。
 判事の後妻の美しいキャサリンが密室状態で他者の侵入の痕跡の無い礼拝堂で刺殺体となる。さらに気落ちした判事が、同じ密室の礼拝堂でベッドに横たわったまま刺殺体で発見される。シャルルは、壮大な仕掛けで殺人が行われたことを明快に解明する。イギリスの古典派ミステリの味わいもある。

佐伯泰英「居眠り磐音江戸双紙48 白鶴ノ紅」

 あれから時は過ぎ、辰平とお杏、利次郎と霧子の祝言で、辰平は福岡藩の江戸藩邸に、利次郎は関前藩江戸藩邸に引っ越した。小梅村は寂しくなったが、それぞれの旅立ちでもある。
 奈緒は山形藩の行列に従い、江戸入りして磐音と再会。おこんとも会う。さらに紅染めの修行をした後、江戸で最上紅前田屋を浅草寺門前町で華やかに店開きする。
 武左衛門の娘秋世は奈緒の店で方向、磐音の息子空也も成長。時代を担う子どもたちの成長ぶりも微笑ましく描かれている。
 一方、田沼意次は凋落の一途、十代将軍家治の容体がおもわしくなく、身罷かってしまう。政治の流れは一気に反田沼の様相を見せ始めるのだ。いわゆる田沼派の幕閣も掌を返したようになる。しかし、老獪な田沼の最後のあがきは磐音にも影響せざるをえない。雇われ剣客たちとの闘いも幾つか描かれる。
 そして松平定信たちは田沼の追い落としをはかり、活発化する。いわゆる政争である。
 磐音はまた関前藩主の命を受けて、お内儀お代をむかえるべく磐音らは鎌倉へと向かう。
 小梅村を中心とした人間模様は多彩で、温かい。これがこのシリーズの特徴でもある。
 完結まであと少しだ。

佐伯泰英「居眠り磐音江戸双紙 47 失意の方」

 いよいよ慣れ親しんできたこのシリーズも完結間近いのです。51巻でめでたく?完結するので、話題になっておりますw-。先日の朝日新聞では、1ページを割いて「磐音新聞」なるものを特集しておりましたよ。
 すなわち、磐音を取り巻く人々、時代背景=最大の敵の田沼意次とその政治的位置づけなどを興味深く書いていました。
 前回は、弥助が江戸城の床下で我が子とも思う藪之助をやむなく殺害。→田沼の息子意知の刃傷事件があり・・・・。なので、「失意の方」というのは誰のことかわかりますよね。
 今回は、藪之助の供養のために弥助が遺髪をもって密かに伊賀者の故郷に旅立つ場面から始まるのだ。さらに、難儀している奈緒の救済のために山形へと弥助は向かう。
 磐音は、小梅村に居て、佐々木家の隠し墓参りをし、その折りに浮世絵師北尾重政との関わり合いが出来、彼を道場に連れ帰るのだ。居候を決め込んだ重政にはラストである重要な役割がふられている。ここではネタバレはしないでおく。
 一方、剣客土子順桂が現れ、いつの日かの果たし合いを予告することに。
 霧子は師の弥助を助けるべく山形へ旅立つ。
 妖術使いの一団が小梅村の道場に道場破りとしてやってくる。この巻でいちばん面白いところでもあるのだ。首領の卜部と「ひな」の動きは奇妙で妖しいのだ。
 

ひこにゃんの街:スイセンがもう咲いた、の巻

 今日は初射会があるので、いつものチャリで芹川の土手にさしかかったら、もうスイセンがかなり咲いておりました。そこで写真を紹介しておきます。
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 青空にスイセンが映えてきれいですねえ。これも暖冬のせい?いつもより早い気がするんだけど。

篠田節子「インドクリスタル」

 篠田さんのまたまた新境地を開く物語です。雑誌「野生時代」に連載されていたです。この雑誌を少しは手にとって読んでいたのですが、全編を書き直して?単行本にまとめられたものです。篠田さんらしい筋運びの巧みさとスケールの大きさを感じます。
 アジアのどこやらの国の雰囲気や神秘性については、チベットらしい、あるいはネパールらしい背景を生かしての小説もこれまでに何冊かありましたが、今回はインドが舞台です。各章はシンプルに、次のようになっています。
 一章 処女神
 二章 アンダー・ザ・テーブル
 三章 スラム
 四章 光彩
 主人公は藤岡。山峡ドルジェの社長、先代社長の娘婿である。彼は「水晶」を求めてラテンアメリカ各地に行き、質のよい水晶を会社のために見つけてきた経歴をもつ。ドルジェは人工水晶を提供する中堅企業である。さらに高品質の水晶を求めインドへやってくるが、藤岡の部屋にやってきた、一夜の相手をする少女ロサとの出合いが彼を変えてしまうのだ。
 彼女はとてつもない記憶力をもち、ある村で処女神として崇められていた存在だった。さらに「人間爆弾」として、自爆テロに利用もされていた過去を持つ。
 この存在感がある少女と、現地のNPO法人の人々とのやりとり、そして現代のインド社会の貧困と風習も丁寧に描かれている。
 ラストでは、ロサと藤岡のその後が描かれていて、深い印象を残すのだ。
 思うに、このロサという不可思議で卓越した少女を造形したことでこの作品は成功といえるのではないか。後は篠田さんの巧みな?ストーリーテラーの術に翻弄されていく、それこそが篠田作品を読む醍醐味に他ならないのだが。

「特捜部Q 吊された少女」を読み終えて、の巻

 やれやれようやく「吊された少女」読み終えましたw-。
 何かと身辺が慌ただしくて、ぶつ切りに読んでいました。それがようやく結末にたどりついたわけで。
 単純な話に終わらせるのではなくて、二転三転の工夫、謎解きの興味を盛り込んで(ある意味こねくり回して?)最後まで読ませる、でも疲れますねえ。真ん中まで読み終わって、犯人がわかるのはいかがなものか?と感想に書き、ブログ・アップしたのですが、一部を訂正しなければなりません。気が重い、笑い。
 3人の人物が主たる特捜部Qの主人公ですが、それぞれに個性豊かな人物揃いで、それだけでも読んでみる値打ちがあるというものです。チーフのカール、謎めいたアサド、そしてローセと。
 カールの皮肉と独自の人間観察が前編にスパイスとして効いている。そして、アサドの冷静さとミステリアスなところも魅力には違いない。

お正月は家族賑やかに、の巻

 少し遅まきながらですが、あけましておめでとうございます。
 年末は、久しぶりでわが家の大掃除に明け暮れておりました。というのも、いつもならクリスマスを挟んで海外旅行に出かけているところでした。そして暮れに帰ってきて、すこーしお正月の準備をしてお茶を濁しておりました。
 でも昨年は、仕事が後半に忙しくて、さらに同時期に国勢調査の?関係で遂にポルトガル旅行をキャンセル。それに、ヨーロッパのテロの勃発などなどで涙ながらに見送った訳ですw-、噓みたい。噓ですが、笑い。
 でも春になれば、またポルトガルにチャレンジしようかな?と考えています。
 窓ガラス、お風呂場、トイレ(一応1階と2階にありますので)、床と階段の拭き掃除、玄関まわり、外まわりの掃除などで疲れました。
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これは3日に、大阪の千日前で友人たちと新年会を、とあるお店でしたときの写真ですw-。お寿司のお店でしたが、しゃぶしゃぶ、カニ、お刺身など、シメは釜飯でしたので満腹でした。朝9時過ぎに新快速に乗って大阪まで行き、少し時間の余裕があったのでアウトドアのお店と本屋を何軒かひやかして(笑い)、帰りには「なんばウオーク」を歩きました。大阪の人混みの多いこと!すっかり疲れましたあー。やはり静かな地方都市の彦根に限るわい、と一人ごちて自宅へ。
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 時系列は逆ですが、元旦は三家族で賑やかにおせちを祝いました。お茶の時間には、写真のそれぞれの手土産の「花びら餅」とおかしを美味しくいただきました。
プロフィール

Author:サマンサどら猫
 FC2ブログへようこそ!ミステリ大好き人間ですw-。そして、冬以外はアウトドア系(山登り、ハイキング、ウオーキング、サイクリング、釣り)、日帰り温泉、旅行などの趣味を楽しんでいます。茶トラを飼っていて、名前がサマンサです。卓球やバドミントンも好きで、最近は弓道も始めました。

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