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「エヴァの告白」のシリアスなテイストの巻

 「CSI オリジナル シーズン13」の3本とともにレンタルしたものです。理由は、マリオン・コティヤールの主演映画であること、カンヌ映画祭での話題作でもあったということ。
 ユダヤ系のジェームズ・グレイがシナリオ、監督、製作をしたもの。彼の身内の実話を土台にしているとありました。
 やはり、何といっても、エヴァを演じるマリオン・コティヤールの魅力が生かされていますよね。
 原題は、「The Immigrant」(移民)。まさに「移民」問題、女性問題→というより、あの時代の不安定な世情と薄倖な女性の生き方を悲しくリアルに描写しています。
 冒頭の映像:1921年、ニューヨークのエリス島。移民を乗せた船上。モノトーンの絵のように靄に霞む「自由の女神像」が映る。何故か女神は後ろ向きに立っている。
 これはこの映画の主題をシンボライズしている?かのようだ。
 アメリカ合衆国は元々「移民」で成り立っているエスニック社会だが、1921年といえば、第一次世界大戦後で、この世界戦争が「ヨーロッパの戦争」であったが故にヨーロッパが疲弊し、ヨーロッパ各国の移民が一人勝ちのアメリカになだれ込んだという背景は無視できない、そんな事を考えながら観ていました。 *エヴァはポーランドから船でやってきた。正確にはポーランドとドイツの間のシュレジエン地方の出身です。
 ではなぜ正面からでなく後ろ向きなのか?つまり、自由の女神は、新天地アメリカにやってきた移民にとって、ハドソン湾で見る女神(元々はフランス生まれの女神様だが)は『希望の象徴』だとよく言われてきた。「ウェストサイド・ストーリー」では、アメリカ♪アメリカ、アメリカ♪と若者たちが弾むようにコーラスし、踊るではないか!
 この場面でエヴァの暗い運命がすでに物語られるのだ。マグダという妹は、肺結核のような咳をし、案の定移民局の職員から隔離されてしまう。頼るべき係累のないエヴァはそのまま妹とともに強制送還になる運命だっただろう。 
 しかし、エヴァの美貌に目をとめたブルーノという男が巧く立ち回り、そしてエヴァを連れて行く。彼はこうした薄倖の女性に仕事=売春を斡旋する悪人であった、という粗筋である。
 シリアスなドラマの典型だ。
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「CSI オリジナル シーズン13の④」の多様さとリアルさの巻

『第9話 警部の指輪』: このシリーズの特徴のひとつに、社会問題への鋭い切り込みがあるが、これもそれにあたる。家族関係の在り方、すなわち今回は父と娘の葛藤と複雑さを扱っているのだ。すなわち、モーガン父娘、ジム父娘、街娼の父娘の関係だ。
 例によって、ベガスの喧噪、ニックがクロフォードと共にパトロール。サラも別ルートを見回り中だ。ベガスには様々な夜の顔があり、緊急逮捕者も多い。街娼を逮捕し、ジム警部が調べたら、見覚えのある指輪を彼女は身につけていた。200ドルで同僚から買った物だと言う。ジムの心境は複雑だ。それは元妻(すでに死亡)に送ったものであったからだ。
 生首を振り回している若者がいて、動画にアップするためだと言う。さらに、停車中の車から銃で撃たれた死体が発見される。
 ラボで検証の結果、凶器は3Dで作った使い捨ての銃だった。さらに手口はプロの仕業だと判明。CSIとジムは、事件の背後関係に迫っていくというものだ。
『第10話 恐怖のフライト』: ベガス空港に応答なしの小型機が、そして街中に墜落。早速ラボのメンバーに招集がかかった。すなわち、機内で起きた謎の究明だ。航空調査官がやってくる。しかも彼はサラのかつてのボーイフレンドだった。サラの心境は複雑だった。グリッソムとのこともあり、この辺の心理描写も見応えがある。
 墜落原因を、ドアの損傷、減圧、整備不良、修理道具の調査など、様々な観点から検証していくお手並みはCSIならではのものだ。
 一方で、家系図のエキスパートのホッピーに、モーガンは自分の家系の調査を依頼する。家族へのクリスマス・プレゼントのためだ。
 このホッピーが家系図の作成過程から事件の謎に肉薄、グレッグやホッジスらの取り組むラボの科学的な検証ともあいまって見所のひとつだ。
『第11話 殺しの生中継』: 珍しいベガスの暴風雨の場面から始まる。モンスーンの季節をテレビで生中継、そして人気キャスターのテレサがスタジオで解説をしている。
 突如変圧器が炎上、停電となる。自家発電に切り替え点灯した瞬間のテレサが崩れ落ちる場面をカメラはとらえる。
 ラッセルらが現場を検証する。100万人の視聴者が観ている前での密室殺人だ。
 20秒間で鋭いナイフでテレサを刺し殺した真犯人はいったい誰か?スリリングな展開だ。
 聞き取り調査をラボのメンバーがしていくと、テレサはまわりのスタッフに嫌われており、動機は複数の者にあった。すなわち、すなわちスタジオの技術スタッフ、アナウンサー仲間も。
 ラッセルが調査すると、変圧器に爆発痕があり、さらサラらがにテレサの自宅を調べると、彼女が「ある事件」を追っていた証拠があった。また、彼女がある人物と会食を共にしていた証拠も見つかった。
 犯人のトリックをラッセルらが暴いて、犯人を割り出していく。

「CSI オリジナル シーズン13の③」の見所の巻

『第6話 傷心』: NBAをめざす地元大学のバスケ・チームの話。ラッセル主任の息子チャーリーが所属するチームの鬼コーチがシャワー室で殺害されていた。
 ジュリーとサラが検証する。チャーリーもコーチ殺害の直前にこっぴどく叱責されており、チーム・メイトの証言もあり容疑者の一人となる。ラッセルはチャーリーに会う。
 ただし、単純な構成ではなく、チャーリーにはヴァネッサというガール・フレンドがいて、しかも彼女は「SMの館」の女王様だったというもの。そして大学の経営側の一人のヘッジ・ファンドの持ち主の存在や、コーチの「ある秘密」も捜査している中から浮上してくる。
『第7話 ウオリック・ブラウンの墓』: 初期のメンバーである、あの懐かしいウオリックの登場だ。つまりウオリックの亡霊?がひとつのテーマでもある。墓場で牧師が、しかもウオリックの墓の前で殺されていたのだ。ここら辺は少しホラー・タッチもある。ウオリックの生前仲のよかったニックが彼の自宅を訪問する。グレッグは死体検証をする。妻のティナと息子イーライの生活は、スラムの一角で目を背けたくなるようなすさんだものであった。つまり、アメリカの現実の暗部を描いたものだ。
 容疑者の家にあった懐中電灯はCSIの懐中電灯で、しかもウオリックの指紋が付着していた。この謎は?さらに、ウオリックの名義でのあの世からの送金など・・・・謎解きの興味もある。そして真犯人の意外性もある。
『第8話 燃える女フィン』: 夜の砂漠。何かが墜落して炎上の現場にラッセルとジュリーが駆けつける。FBIに対して強硬にラッセルははねつけ、そして、干からびた死体を3体も発見する。さらに4体目も。いったい何が起こったのか?
 ジュリー=フィンは、死体からヴィンテージもののペンダントを見つける。これは彼女がシアトルで捜査していた誘拐事件の被害者のものだった。更に遺体は8体に。シアトルの過去の事件に関連ありとみて、ジュリーはシアトルに飛ぶ。
 それこそ「燃える女」の真骨頂だ。シアトルでは、元夫の協力も得て、捜査にあたっていく。ラボのメンバーの協力体制も見所だ。そして有力容疑者を再度調べていくうちに・・・・・というものだ。なかなかスリリングな展開だ。

やはり「CSI オリジナル」はいいなあ!の巻

 行きつけのレンタル・ショップ(1階は本と文房具、2階はCDとDVDのレンタル・販売)で、会員優待の連絡がきて、早速出かけましたあ、笑い。準新作と旧作が97円(ということは、8%を掛けて105円だ)。新しく配架された棚を探して歩くと、何と「CSI」のシーズン13が途中まで準新作になっているではないか、待ちに待った瞬間。ちょっと大げさかな、笑い。
 これまでTVシリーズで、完璧にレンタルしたのは、「コロンボ」「LOST」、「キリング」、「ミレニアム」、それにこの「CSIオリジナル(他のCSIのスピンオフは観ていない)」。おっと「シャーロック」もそうだった。あとはすべて中途半端で終わっている。
 でも棚を見ると、①はレンタル中だった(残念)ので、②③④とゲット。⑤から後はまだ新作扱いなので、またの機会にして、CSI以外に3枚をレンタル。これらについても、おいおい感想を書きます。
 ○ 「CSI シーズン13の②」
『第3話 怯えた花』: いつもの出だし-ベガスの鳥瞰写真が写り、ザ・フーのリズミカルなボーカルが流れて、至福の瞬間の味わいだ、笑い。
 さて、ストーリーに戻ろう。夜、フェンスから2人の少女が追われるように走り、ハローウインで賑わう会場に逃げ込む。しかし、大勢の中で一人が謎の追跡者に銃殺されてしまう。もう一人は行方をくらます。
 身元不明の少女の遺体をいつものロビンス先生がラボで解剖、CSIのメンバーは、ただの乱射事件ではないと見抜く。→モーガンやサラやニック、ホッジスらが目撃証言を集め、会場に居た人々の携帯のカメラの映像を詳細に分析する。
 少女の体中に拘束された痕跡とアザがあり、長期にわたる監禁状態にあったと判断。人身売買?性的奴隷?が想像される・・・アメリカの暗部をえぐる事件でもある。生き残った少女(言葉が話せない)にモーガンが寄り添い、残されたキノコの分析と少女の書いた花の絵?のヒントなどを手がかりに真相を暴き出すというものだ。改めて家族の在り方、家庭の在り方を問うた作品でもある。
 『第4話 シナトラの亡霊』: 砂漠の中に置かれたピアノを弾くジム警部。そしてピアノの中には血まみれに切り裂かれた女性の死体が。被害者はグレッグの古い知り合いの女性アリソン・ベイリーだった。彼女とグレッグは恋人でもあり、共著も出版していた。怨恨殺人と見られるが犯人は誰なのか?
 モーガンとグレッグが主として検証にあたるが彼の胸中は複雑だ。古き良きベガスでは、シナトラも活躍、ピアノのシリアルナンバーからの割り出しにより、グレッグの回顧談も含めて、当時の人気のジャズ歌手リド・ライトとギャングのトミー・グラゼッティーの事件も判明。
 一方、シナトラのそっくりさんがステージに立ち、楽しませてくれる。ラボでは、指紋の分析や殺害状況を地道に検証。アリソンがある調査をしていたことがわかってきて・・・・・。この話のテーマは「古き良き時代」と「変わらぬ愛」である。
『第5話 相棒』: 夜のベガス。不気味なドクロのマスクを付けた男たちが。そして2人のチア・ガールが凄惨な死体を発見する。実は彼は警官で、しかもヤクを持っており、喉が咬み裂かれていた。近くには警察犬がいて興奮していた。果たして犬が殺しの犯人なのか?犬の名はサム。
 グレッグとニックは殺されたネルソンのトラックから様々な証拠を見つけ出す。そしてニックはサムに捜査の協力をさせる事に。
 一方で、モーガンらは銃殺された弁護士の遺体検分に当たっていた。彼は離婚弁護士として評判が悪い男であった。
 この2つの事件を並行させて話が進行する。今回はなんといっても警察犬サムが主人公のハートウオーミングな物語だ。

ひこにゃんの街:花菖蒲と菖蒲の花盛りの巻

 6月、梅雨空で憂鬱でもありますw-。でも近所の庄堺公園に出かけてみました。
 交通手段はいつものチャリですw-、笑い。
 多くの方たちが見物の訪れていました。公園内では子どもたちの歓声が聞こえていますw-。
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 菖蒲園はこんな具合です。もっと近寄ってみましょうか。
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 美しい、きれい、鮮やかですねえ。しっとりと咲き誇っています。
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望遠系でアップにすると、こうなります。清楚な貴婦人みたいな風情です。

ルイス・ビグレー「アバウト・シュミット」は映画と随分違うなあ、の巻

 映画は、ジャック・ニコルソンの名演(はまり役だし、あのニコルソンのアクの強さの演技で感銘を受けた)は今も記憶に残っている。もちろん何度か観て、退職する男の孤独と喪失感、そしてまもなく妻が急死し、旅立つ老年の男を日本の現実とオーバーラップさせ考えさせられた。ところが原作が存在するのを初めて知った。何を今更の感じだが、苦笑い。
 でもどこかおかしいのだ!!いったい何が???
 それは読めばわかるのだ、笑い。
 とにかくストーリーが全然違っている。原作と映画とがつながらない。こんなことってあるのだろうか?
 まずシュミットの職業からして違う。原作は弁護士だ。しかもかなりハイソな金持ちで、不動産(自宅は亡き妻の名義だった)をはじめとする財産の所有者だ。保険会社社員とはわけが違う。さらに、過去に娘の家庭教師との不倫があり、現在の20歳のプエルトリコ人ウエイトレスのキャリーとの恋愛もあったりして、いかにもハッピーな生活を送っている。
 それに映画は、途中からロード・ムービー的に主人公が車を走らせ、そこでの体験談が描写(これはこれで見どころがある)されているが、これも違っている。結末も大いに違う。
 では映画に沿って感想を書いてみよう。
 映画での印象的な場面は、 ①退職間近なシュミットの時間感覚を保険会社のオフィスの時計が示唆する。 ②うわべだけの退職記念?パーティーでのお世辞の台詞の数々。→主人公の孤独感をいや増す。 ③後日、会社に訪れると、後任者からそっけなく扱われる。→現実の冷酷さ  ④妻の突然の死→そしてトイレで意気揚々と立ちションをする場面(さぞかし妻から立ちションは厳しくたしなめられていたろう、その解放感覚は共感できる)。ニコルソンの得意げな顔のおかしさったらない!名場面だと思う。それと対照的なのが、ニコルソンの急激に老いた顔の変化だ!百面相みたいに変化する表情の妙は絶妙(この写真はよく使われる)。 ⑤亡き妻の遺品を整理してる時に発見した同僚との不倫の手紙→相手を問いただし、確証を得て彼を追い回すシーン ⑥娘の結婚相手のおバカさ加減。これはユーモラスなテイストだ。 ⑦旅の途中での既婚女性の好意の勘違い。 ⑧娘の結婚相手の太っちょの母親(お互いやもめ同士)が風呂でせまってくる場面。(「ミザリー」の主演女優の演技に注目) ⑨ラストでのアフリカから届いた養子からの手紙。 などであった。     しかし、そんなところは原作には出てこない。つまりシナリオと原作は別物だという典型例だろう。ただし、⑧の「せまられる場面」は、原作では違った形(お風呂ではなく)で書かれている。
 映画は、メリハリが効いていて、ニコルソンの名演技もあり、特に①②③④⑤⑥などは、サラリーマンの退職時の悲哀感が鋭く描かれ、しかも連れ添った老妻の突然の死による衝撃も心を揺さぶるものとなっている。このあたりは日米共通だろう。

朝日川柳の巻

「参院選 校門前で 第一声」。なるほどですw-。高校生にも宣伝しないとねえ、笑い。文句なしに座布団だ。
「国旗国歌へ 学徒動員」。国立大学も大変だよなあ。
「九条を 変えず要 抜く国会」。今の国会対策もゆがんでいるなあ。維新の立ち位置もよくわからないね。
「志士よりは 新撰組が 似合いそう」。これは痛烈だ、笑い。維新にしっかりしてもらわないと。
「注意報 火山突風 独裁者」。いずれも気をつけないといけないことばかりだ。
「梅の実の落ちるがままの 空き家かな」。空き家が増えていますよねえ、全国的に。
「守護神と 呼ぶに相応(ふさわ)し 彼のイズワン」。対シンガポール戦、格下だがなめたらいかんぜよだった。

「食の図書館 ウイスキーの歴史」ケビン・R・コザー、神長伸義・訳

 まさにウイスキーのあれこれの蘊蓄がいっぱいに詰まっている。
 各章は、次の通り。
 序章 ウイスキーとはなにか?: ウイスキーの表記から定義、製造の工程、仕込み、発酵、蒸留、熟成、瓶詰めまでが、写真が適     切に入っていて分かりやすい。
 第1章 始まり-種子から蒸留液へ
 第2章 初期の歴史
 第3章 スコットランドのウイスキー
 第4章 アイルランドのウイスキー
 第5章 アメリカのウイスキー
  それぞれ各地での初期の歴史から説き起こし、現代にまで至っている。
 第6章 21世紀のウイスキー・ワールド: ここではグローバル化の波にウイスキーも大いに影響されていると解説している。

「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしブックvol5の魅力の巻

 5人の作家の短編と連載作品が収められてる。これは市立図書館で借りたものですw-。
 それぞれ作風が多様ですが、まず感心したのは、
岡崎琢磨『可視化するアール・ブリュット』:  一気に読ませる魅力がある。殺人や犯罪は出てこない。登場人物も主役の男女と、脇役の女性だけだと言っていい。しかし、深い感銘を残す。
 美大に通う凜(りん)と元恋人の村治の物語だ。ある日、鍵のかかったロッカーにあった凜のクロッキー帳に小人の絵が現れていた。誰かが書いたものだ。→このちょっとした謎(あるトリックが潜んでいる)を下敷きにして、切なくスイートな余韻を残すミステリだ。私の好きな傾向のミステリでもある。
七尾与史『僕はもう憑かれるたよ 第二話』: 2つの世界の往来?二人の人物-八木沼真知の一人称と、美門玲二の一人称スタイルを交差させながら、男と女をめぐる話が展開されていく。そして心療内科や解離性同一性障害(多重人格)にも触れられている。連載ものだ。
友井羊『つゆの朝ごはん 第三話 ふくちゃんのダイエット奮闘記』: 切ない話だ。まさに表題通りの、三葉こと「ふくちゃん」のダイエットをテーマに、彼女と妹、母、そしてボーイフレンドをめぐるペーソスを根底においたユーモアものでもある。解説に『スープミステリ』とある。これを読めばわかるだろう。なぜスープなのか?と。
堀内公太郎『公開処刑人 森のくまさん2-お嬢さんお逃げなさい』: 初代「森くま」と2代目「森くま」の犯罪を併記しながら犯人像と、彼(彼女)の犯罪が示されていく。ネット上に現れる処刑人「森のくまさん」は誰か?不気味な印象の短編。連載ものでもある。
深町秋生「リトル・ゲットー・ボーイ」: ボクシング・ファイター=ウオ-リア-もの。桐崎マヤとアイク牧原との行き詰まるような格闘場面から始まる。しかし、誘拐事件が絡んで・・・というものだ。街のダニのピースメーカーとの対決シーンは見物だ。痛快な一編。警部補のテーザー篠原(仙台署の名物刑事だった)が個性的で面白い。

折原一「侵入者」のたくらみのトリックの巻

 ブログのタイトルは日本語としてちょっと変だぜい?と思った人はもう折原マジックに嵌まるしかないでしょうなあ、笑い。
 この「侵入者」はそれほど「折原ワールド」でいっぱいなんですw-。読めばわかる。それしかないのだ。
 でもそう言ってしまえば身もふたもないので、いつも通り紹介しつつ書いてみます。
  副題が『自称小説家』。北森鴻さんとともに、私の好きな日本のミステリ作家の一人が折原さんです。どれぐらい好きかといえば、折原作品の文庫本を20数冊集めて読破。でも、それをまとめてブックオフコーポレーションに売った過去があります、笑い。
 このところ、折原作品は、現実に起こった事件を題材として「折原色」に染めて書かれている傾向がありありです。
 これも、例の「世田谷一家殺害事件」を取り上げたものであります。
   ○ ストーリー
 ・プロローグ 折原さんらしい導入。不気味なピエロが怖い。実はこのピエロが主役でもある。
 ・第一部 自称小説家
 ・幕間
 ・第二部 侵入者Pierrot
 ・エピローグ
 以上の章から構成されている。「ピエロ」は主役なので、最初からラストで出ずっぱりだ。「自称小説家」とは、語り部のようなもの。何故なら、彼の目をとおして話が進んでいく部分が大半であるから。
 名前は塚田慎也。自費出版のミステリ本1冊しかない、いわゆる自称小説家である。
ほぼ迷宮入りが近くなった資産家夫婦殺人事件の現場近くに住む塚田が、遺族の一人の柿谷民夫(殺害された夫の弟)から事件の調査を依頼される。
 功名心と金(懸賞金5百万プラスお礼金5百万)につられて引き受けるというものだ。そして彼の取材と聞き込みが始まる。
 ところが、ここからが折原ワールドに入っていくのだ。実は、彼が書いた唯一の本は、以前の放火殺人事件を題材としている。しかも、事件前に当事者夫婦両方から自伝を書くよう依頼され、かなりの額の現金を受け取っていた。→そして夫婦は何者かの手で殺害され、放火され焼死。
 中盤以降はこの2つの殺人事件に絡む?と思われるピエロ、そして塚田、さらに怪しい車いすの老人も登場する。
 そして、「百舌のはやにえ」が効果的に度々出てくる・・・・・これが殺人の予兆?として使われている。少なくとも読者はそう思い込まされる。
 ラスト近くでは、最初の事件、第2の事件が交錯し、さらに真相解明という名目のもとで、第2の事件の再構成を塚田がシナリオ化し、事件の生存者で再演するといった提案がなされ、劇が演じられていく。・・・・・果たして、これで真相が判明するのか?それとも折原トリックに欺かれるのか?興味津々だお思いませんか?

海外旅行について思うことの巻

 「海外旅行」。何故に海外なんだろう?
 この疑問がふとよぎりました。このところ(つまり、私にとってこの4年間)ヨーロッパづいていますw-。奥様と一緒にランデブーのため、笑い。
 ジョークはさておき、北イタリア(ミラノから入り、ヴェローナ、アッシジ、ヴェネチア、ローマ)、トルコ、ドイツとオーストリア(クリスマス・マーケット巡り)、中欧5カ国巡り(ドイツ、チェコ、スロバキア、ハンガリー、オーストリア)、スペイン、オランダとベルギー、イギリス(湖水地方とバース)、南イタリア(ナポリから入り、アマルフィ、ポジターノ、ポンペイ、ローマ)、ギリシャ(アテネ、メテオラ、ペロポネソスのミケーネ・ティリンス・エピダウロス、デルフィ、エーゲ海クルーズを間に含む)、そしてこの7月のフィンランド旅行と続きます。・・・・・随分回数を重ねたものですw-、笑い。
 主たる理由は、大学でヨーロッパ史を専門に学んでいたから?
 感銘を受けた映画はヨーロッパ映画が多かった(イギリス映画、フランス映画、イタリア映画、フィンランド映画)から?
 ミステリ好きで、まず良質のイギリス・ミステリ(シャーロックもの、クリスティーの作品群、P・D・ジェームスの作品群、カーの作品群など)、 そして北欧ミステリの影響?によるものか。
 それとも単なる非日常=旅が好きだからか?
 自問自答は続きます。旅のブログは、その都度書いては消し、書いては消しています。また次回にブログ・アップしますので、また訪問してくださいね。

門井慶喜「東京帝大 叡古(えーこ)教授」のユーモラスさの巻

 門井さんの最新の本だ。装丁は「若桜鉄道うぐいす駅」と似た感じだ。
○ ストーリー
表紙カバーの絵が何やらレトロだと思っていたら、第一高等学校とか第五高等学校が出てくるから、戦前の、しかも明治時代のお話だとわかる。
表題も「東京帝大」だからねえ、当然か、笑い。
熊本の第五高等学校の学生が上京する場面から始まる。本名は少し後でわかる仕組みになっている。とりあえず「阿蘇藤太」である。彼の一人称での見聞と語りで展開していく。
 彼は、叡古教授と東大構内の図書館で会う約束となっている。ところが、最初に出会った人物がいきなり倒れ込んで、・・・・・。つまり殺人事件にいきなり遭遇というわけだ。そして、彼の窮地を救ったのが、当の本人の教授であったということだ。
 さらに第二、第三の殺人も起こり、犯人捜しの興味と、背景の究明=謎解きがない交ぜになっている。
 のんびりした時代背景と、ユーモラスなテイスト満載のミステリだ。
 門井さんの各本に共通するユーモア・センスはここでも基調となっているのだ。
 ちなみに、阿蘇藤太は教授のつけた仮の名前である。そこにもある秘密が・・・・、笑い。阿蘇は、予科の独法科で学んでおり、進学先は東京帝大と考えている。
  構成は第一話から六話、最終話の七話形式。第一話で、阿蘇がコナン・ドイルのシャーロック・ホームズに触れ、明治期の洋物のにおいを振りまいている。楽しめる読み物として期待を抱かせる。
 語りは、阿蘇の一人称だ。第一話では、彼は、教授に言われて「国民新聞」の社会部探訪記者松崎天民とともに聞き込みをする。でもシャーロックというより、ワトソン役かな。何故なら、教授が主役で明晰な推理をするからだ。一話は、あっけなく謎が解明される。
 そして、戸水寛人教授(要するに日本史で習った東大七博士の一人)や徳富蘇峰が実名で登場する。この辺は門井さんの特徴でもある。巧みに虚実を織り交ぜる。
 さらに、二話以降はもっとスケールの大きな出来事へと発展していくのだ。教授の娘の「さくら子」も登場し、華やかさを盛り込むことも忘れていないのがうれしい。また、さらりと門井さんの出身校の同志社英学校のことが出てきたりして、明治の近代化のプロセスも楽しめるのだ。もちろん、明治期の最大のオピニオン・リーダーである福沢諭吉の話題や言葉もふんだんにある。そして夏目金之助(漱石)、西園寺公望や彼の設立した私塾・立命館、政治家の原敬、桂太郎まで出てくる。それを読みながらほくそ笑むだけでも楽しいのだ、笑い。
 ネタバレになるけれど、さらにファクシミリの存在や二進法によるコンピュータの示唆まであるからサーヴィス満点だ。ラスト数ページで、藤太の正体も犯人も判明する。「なるほど、そうだったのか!」と読み終わってある種の感銘が残る。
 * 後日新聞を見て、この作品が直木賞の候補にあがっているのを知った。門井さんの力作だ。

海上釣り堀で大漁大漁の巻

先日、 いつもお親しい仲間たちと釣りに行ってきました。気さくな気の置けない者同士、のんびりと出かけました。総勢5名。
三方五湖のレインボーラインの手前で曲がり、日向(ひるが)漁港へ。地元の漁協が運営している場所です。この日は、日本海側はちょっと風が強目でした。
釣果は、5人で鯛12尾、ホウボウ17尾、蛸3匹、つばす5尾、いさき(いさぎ)10尾でした。追加のお金を結構払いましたので、「ちょっと釣りすぎ?」の声もちらほら、笑い。みなさんはどう思われますか?
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 仲間たちの様子ですw-。私は最初はもっぱらカメラマンに徹していました、笑い。
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 でも次々と釣り上げるのをみて、やる気が高まり、「行くぞ-」と気合いを入れました、笑い。闘争心に火がつきました。
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 そしてまず釣り上げた獲物が、な、なんと蛸ですw-。ここは網にかかった蛸を入れているので、割合蛸がこの時期は多く釣れるのです。グニャグニャと動いています。びくにそのまま入れると、魚を食べるので、赤いネット(ミカンを入れる袋)に入れてからびくに投げ込みます。でも、蛸は、美味しいのです。生タコとして刺身でもよし、茹でて酢の物もよしです。
 私もこの後は、鯛を2尾釣り上げ、その強い引きを楽しみました。→つまり、ポイントに投げると、すぐにツンツンとウキが反応し、次いで深く沈んだときに合わせるのがコツですw-。もっともこのタイミングは、去年の11月に同じ場所で隣にいたおじさんに教わった知識ですが、笑い。
 後半は場所を移動しました。すると、すぐさまツンツン→ウキがすーっと沈みます。「鯛だ!」と叫んで上げたら、ホウボウでした。初めて釣りました。ホウボウは高級魚?引きは鯛そっくりでした。続いて同じ引き。そしてまたも同じ引き。ホウボウでした。こんな風に、納竿するまで私はホウボウばかりかかりました。8尾も連チャンですw-。まさに「ホウボウ・デー」でしたね。
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 ホウボウって胸びれがきれいですよねえ。
 そんなわけで、途中パンを囓りながら2時過ぎまで粘りました。その釣果が上記の通りでした。お疲れ様でした。ゲットした獲物は、われわれのルール?で、折半ですw-、笑い。釣り堀のおじさんからはさらに小アジをたくさんおまけでいただきましたよ。
 我が家では、アジは、南蛮漬けにして美味しくいただきました。鯛は、お刺身と塩焼き、鯛麵に。蛸は刺身、つばすは塩焼き、さらに、いさきと鯛は奥様のお友達2人にもおすそ分けしました。私の分け前は、鯛2尾、いさき2尾、蛸1匹、つばす1尾、ホウボウ3尾でした。

「ポンペイ」は歴史劇で、それなりに見どころはあったの巻

 あの有名なヴェスヴィオス山の噴火で埋没したポンペイの悲劇を描いている。昔からの題材ともいえる。
 ポンペイには昨年末に訪問し、その印象が強く、どんな町並み再現かと興味津々でDVDをレンタルした。
 ○ ストーリー
 見終わって、歴史劇のスペクタクルものとしては割合平凡な印象をもった。しかし、クライマックスに闘技場での戦い、そして噴火で町並みが崩れて群衆や主人公たちが逃げ惑うシーン、悪徳元老院議員たちと検討し奴隷とローマ兵の戦闘場面に見どころがある。
 最初はブリタニアでの場面。ケルト人の村にローマ兵がなだれ込んできて虐殺を行う。たった一人皆殺しを免れた少年がマイロ。彼は捕虜奴隷となり、剣闘士として育てられる。
 場面は一挙に逞しい青年となったマイロの戦闘場面(これも見せ場といえる)があり、彼はその力量をかわれてポンペイに移送される。その途中、ローマから帰り道のさる高貴な女性の馬が倒れるトラブルに出会う。その女性がヒロインのカッシア。馬に接する青年と彼女が間近に顔を合わせ、好意をもつという、これは恋愛の常套手段ともいえる。
 そして、収穫祭の行われているポンペイに連れて行かれたマイロは剣闘士小屋に収用される。そこで同じ部屋にいたのがトラキア人の無敵の剣闘士アティカス。奴隷同士のもめ事場面があり、この二人が奇妙な友情でつながることになる。
 一方で、火山は不気味な噴火の兆候を見せ、その兆しがあらわれる。
 そして晴れの舞台の試合場面に移る。皇帝に仕える実力者の元老院議員コルヴィスが来賓としてローマ兵と共にやってくる。カッシアに彼はひつこく迫って拒否された事が成り行きでわかってくる。いわゆる悪役の登場だ。
 火山性の地震で闘技場にもあちこち亀裂が入り始める。このあたりがやはり悪い予感を抱かせる。そして、主人公の二人の行動、悪役の横暴な要求、そしてローマ兵とマイロ、アティカスらの剣闘士たちとの壮絶な戦闘場面が激しく行われる。そしてヴェスヴィオス山の噴火もその人間の営みをあざ笑うように活発化していくというものだ。
 これ以上は書かない。ネタバレになるから。
 とにかくアメリカ映画の特徴であるわかりやすさはある。「ポンペイ最後の日」を描くのはなるほどこうなんだなあと納得も出来る。

「バチカンで逢いましょう」はオマ(バアバ)が大活躍だの巻

 これは何とも元気で、ユーモラスなふとっちょオマ(バアバのこと)の活躍する映画だ。
主人公の「オマ」であるマルガレーテ(マリアンネ・ゼーゲブレヒトが演じている)が好演。ユーモラスでハートウオーミングな物語だ。
軽いノリの気分もある。実はあるペーソスの要素もあるのだが、観る人を和ませるのはマルガレーテに扮するマリアンネ・ゼーゲブレヒトの魅力だろう。
 ○ ストーリー
 バイエルンからカナダのオンタリオに移住してきたマルガレーテたちは、想い出のいっぱい詰まった旧い家を売り払い、新居に引っ越すことになる。勝ち気で心配性の娘マリーは、母マルガレーテを善意から老人ホームに入れようとする。母は納得していない。よくある家族の葛藤だ。
 マルガレーテにはある心の重荷があり、ローマ法王に会ってその重荷を下ろそうと思っている。なので、ローマ旅行を楽しみにしていたが諸般の事情で中止となる。気落ちしたオマは、置き手紙を残してローマに行くことにする。
 これが物語の発端だ。ローマには、孫娘が大学へ行く準備のために厳格なカトリックの家で下宿しているのだ。彼女を頼っていくことになる。
 ところが、彼女は自由奔放な生活をしていたのだ。ロック・バーで働き、ロック歌手兼ヌード絵描きの男と同棲している。
そこへオマが転がり込む。→ただでは済まない騒動が持ち上がることとなる。でも、これはまだ序章編だ。
 オマは、ローマの街歩きを始める。法王に会うためだ。バチカンに行き、列に並んでいたところ、老年の盲人がいて、気のいい彼女はつい順番を譲ってしまう。
 ところが・・・・。という展開だ。彼がロレンツオ。巧妙な詐欺師だ。盲目は見せかけ。オマはベスパ(ローマといえばこれだよね!)を乗り回すロレンツオを見て騙されたことに気づくというもの。
ところが相手も事情をかかえていて、とんだ「ローマの休日」となるのだ。
 さらにロレンツオの甥のレストランに行き、自らバイエルン料理の腕前を披露することに。
 そして心配性の娘マリーと、オマ、ロレンツオ、マルティナたちが絡んで、さらにローマ法王も巻き込んでの大騒動になっていくというものだ。
 オマの心の奥にしまい込んだ秘密がやがて明らかとなり・・・・・・。
 ところで、私には、ロレンツオに扮したジャン・カルロ・ジャンニーニはマストロヤンニと風貌が重なって見えてしまい、彼の甥の風貌は、「ライフ・イズ・ビューティフル」やジャームッシュの映画で知られる、あのロベルト・ベニーニばりに見えてしまうのだ、笑い。

「人生はマラソンだ」:オランダ映画も面白いぞ!の巻

 これも行きつけのレンタル店でゲットしたDVDの1本。これが意外に?傑作でけっさくなおもしろさだった、笑い。オランダ映画恐るべしだ。原題は「デ・マラソン」だから、直訳だと「マラソン」だろうな。でも訳としては、地味な「マラソン」より「人生はマラソンだ」とした方がよりアクティブでインパクトがあると読んだのか?と思ってしまう。
 ○ ストーリー
 ロッテルダムが舞台。ここに住む4人と、エジプトからの移民と思われる人物5人組の物語だ。題名通り、マラソンを走るわけだ。
 とある自動車修理工場で、4人(1人は経営者)が、昼休みに楽しくトランプをしている。ダジャレとおしゃべり、そしてビールや炭酸飲料をがぶ飲み。どこにでもある?平凡なおっさんたちの生活ぶりが写されている。あくまで「お気楽」なのだ。人生を楽しんでいるのだ。
 ギーア(町工場の経営者)、ニコ、レオ、キースの4人とユース。エジプト移民がユース、最初は印象が薄いが、ある理由で中盤以降活躍する。
 お気楽4人組も、家に帰ればそれぞれ事情をかかえているのだ。この辺の描写が庶民目線で、オランダ人のありふれた日常がうかがえる。オランダでヒットしたのもむべなるかな。
 ギーア:妻と息子の3人暮らし。息子は思春期で反抗的で出来が悪い。実母(施設に入っていて、トンチンカンな言動あり。この俳優さんがとてもユーモラス)のバースデーに集まった親族の行動も面白いぞ!
 キース:妻に尻に敷かれている。妻は信仰熱心。
 レオ:妻は奔放で、平気で朝帰りをする。レオが赤ん坊の面倒をみている。
 二コ:シングル。どうやら同性愛の傾向がある。これは話の進行で判明するのだが。
 ユース:足が少し悪い。それで仲間たちは、身障者優遇でお金が入るので彼を雇ったと思って、一線を画している。
これだけのお膳立てがしっかりできていると、物語はおもしろくなることが予想できるだろう。
 ① 工場の実情が、多額の税金滞納であると工員たちが知ってしまう。
 ② ギーアは咳き込みと喀血により、医者から末期の癌だと告げられる。余命6ヶ月。
この2つのファクターにより、話は一気に進むことになる。
すなわち、倒産に瀕した工場の維持とギーアの症状が気になる。
→ マラソンに全員が完走すれば、工場の借金をユースの叔父が宣伝広告費として出し、失敗なら工場を手に入れるということになる。
 この間に、それぞれの家庭での出来事がいろいろあり、ユースがコーチとして厳しく4人を鍛えるというものだ。
 後はネタバレにならないように簡単に書きます。
 巧みに泣き笑いを盛り込んだ演出で、エンタメ作品としても上質の出来である。

映画「ハンナ・アーレント」は考えさせる映画だ、の巻

 ナチスの戦犯であるアイヒマンを裁いた裁判で、哲学者ハンナ・アーレントが書いた記事をめぐって起こった-つまり世界中で論争を引き起こした問題を焦点に取り上げながら、ハンナの生き様と家族関係をも描いたものである。
 ナチスの残虐行為=強制収容所でのユダヤ人の大量虐殺に関わったアドルフ・アイヒマンとはどんな人物なのか?ハンナ・アーレントの出した結論は何故激しい論争になったのか?について、考えさせてくれる。
 主演バルバラ・スコヴァ、マルガレーテ・フォン・トロッタ監督。ドイツ・ルクセンブルク・フランス合作映画。
   ○ ストーリー
 ドイツにおいて、大学時代は、ハイデッガーの弟子であったハンナ・アーレントはアメリカに亡命したユダヤ系ドイツ人で、現在では哲学の教授として高名な存在である。彼女の平穏な家庭生活から映画は始まる。ヘビースモーカーで、夫と知識人の親友たちとの会話でそのことがよくわかる。
 イスラエルの諜報機関モサドが南米でアイヒマンを逮捕し、彼をエルサレムで裁判にかけることになる。このことからアイヒマン裁判をハンナが傍聴し、ニューヨーカー誌にその記録を書くことになる。
夫や仲間たちの中には、アイヒマン裁判について、担当検事による「裁判ショー」にしてはならないという、冷静で批判的な意見を表明したりする自由な雰囲気のあることがうかがえる。
 そして、ハンナと夫との会話に、抑留キャンプでの悪しき追想が語られていく。その当時の極限的な精神状況が描写されていて心を打つ。
 アイヒマンの発言のモノクロフィルムが導入され、その証言を観るうち、ハンナは、「アイヒマンが反ユダヤじゃない?」「忠実に命令に従っただけ」「思考不能に陥った、怖いほどの凡人」であることに気づく。それを「悪の凡庸さ」と名付ける。そして、それらの『根源悪』が全体主義をもたらしたと分析するに至る。→これをニューヨーカーに掲載する。この結論は、今日では幅広く受け入れられてはいるが、当然のことながらユダヤ人同胞からの激しい反発と批判にさらされることとなる。
 ナチスの戦争犯罪にたいするユダヤ人の憎悪もあるだろう。同じユダヤ系のハンナをナチスの擁護者と決めつけるのもわかるような気がする。
 しかし、ハンナは毅然と反論する。そのために親友も失っていく。大学でも解雇を申し渡される。それにもめげず、ハンナは学生たちの前で理路整然と論じていく。最も印象的な場面だ。ハンナ役の演技も心にしみる。
 そして、彼女を完璧な人物像でなく、ハイデッガーとの若き日の関係(=不倫関係)も挿入して描いている。とにかく、人間の根源の悪について改めて考えさせてくれる映画だ。近年の傑作だと思う。
プロフィール

サマンサどら猫

Author:サマンサどら猫
 FC2ブログへようこそ!ミステリ大好き人間ですw-。そして、冬以外はアウトドア系(山登り、ハイキング、ウオーキング、サイクリング、釣り)、日帰り温泉、旅行などの趣味を楽しんでいます。茶トラを飼っていて、名前がサマンサです。卓球やバドミントンも好きで、最近は弓道も始めました。

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