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高橋克彦「ジャーニー・ボーイ」

ジャーニー・ボーイジャーニー・ボーイ
(2013/11/07)
高橋克彦

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 これは高橋さんの新境地?久しぶりに面白い小説だ。これまで高橋さんの小説は、初期のものからブログで何冊も感想を書いてきたが、今回はその目の付け所にまず感心させられた。イザベラ・バードの題材をとったところが成功した一因であろう。
 ストーリー: もちろん主人公は、あの明治初期に「日本奥地紀行」をしたためたバードだが、ここでは彼女の旅に寄り添った案内人の伊藤鶴吉がむしろ主役として描かれている。得意の英語を生かして、上野精養軒で、外国人へのサービス(料理の内容や説明、そして様々な相手をすること)を生業とする快男児だ。岸田吟香や大倉喜八郎といった実在の人物からの推薦で、バードの案内役に白羽の矢が立ったのだ。
 そして、バード(あの時代の希有な旅行家で、大胆な女性)との面接と、困難な旅の模様が実にリアルに表現されている。しかも、柔術家の丸山(実は外務省が密かに頼んだ護衛役)との掛け合いと、二人の胸のすくような活躍が見どころでもある。さらに、日光を過ぎてからの新たな護衛役の男女(田郷とさわ)との行動もテンポよく進んでいく。
 バードの旅をこれらの日本人達が懸命にサポートする、といういかにもありそうなところに着目しておられるのがいいし、読ませどころでもある。
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田中啓文「シャーロック・ホームズたちの冒険」

 田中啓文さんといえば、ジャズ・ミステリの傑作が何冊かあるが、これは趣向の変わったミステリだ。もちろんシャーロックとワトソンが活躍するのだが、5編の話が収められている。パスティーシュの性格が強いものだ。
『スマトラの大ネズミ』: 「本稿はワトソン医師の遺品の中から発見されたホームズ氏の探偵譚に関する未発表原稿である」という思わせぶり?な書き出しから始まる。それをいつの間にか楽しんでしまうのだ。
 あの宿敵モリアーティとの対決でやつれたホームズの姿が活写されている。そこへ謎の事件、すなわち生首が密室で次々と発見され、スマトラの大ネズミの署名が残されていた。人間の生と死にかかわる謎を扱ったミステリ、ホームズものの新解釈でもある。
『忠臣蔵の密室』: なるほどあの忠臣蔵をこういう風にミステリ仕立てにするか!というもの。主税とりくとの手紙でのやりとりの形式を踏まえて、吉良上野介のこもっていた小屋を密室と見立てて謎を追究。赤穂義士たちの人間模様を解釈し直し、果てはカーターディクスンまでにまで話を広げるという話になっている。
『名探偵ヒトラー』: 何とあろうことか、ヒトラーを探偵に仕立てている。ヒトラーの側近ボルマンによる記述形式で、いわばワトソン役だ。ヒトラーが探偵小説ファンで、「ワトソンくん」と呼びかけたりするのだ。そして、世界征服につながる「ロンギヌスの槍」の謎を追究するもので、ダジャレの要素もあり、楽しめる。
『八雲が来た理由』: 小泉八雲が同僚の西田千太郎と行動を共にしていた時に、森の中で女の悲鳴が聞こえ、逃げてきた男のたもとに血まみれの女の生首がぶら下がっているのに遭遇。ろくろ首の伝説と絡ませながら、小泉八雲の胸のすくような名推理による謎解きを披露。ハーンの伝記部分もよく書かれている。
『mとd』: ルパンの曾孫の屋敷から見つかった原稿から話は発展。ルパン=南洋一郎。ルパンものの著者ルブランとルパンが登場する。荒唐無稽なものでもある。サン・ラー王のスカラベを盗むというルパンの予告があり、例のガニマールも活躍する。そしてルパンの本当の正体とは?また「mとd」の謎解きは?

カーリン・イエルハルドセン「お菓子の家」

 創元推理文庫所収。 いわゆる北欧ミステリのひとつ。作者はスウェーデンの女性作家。
 ハンマルビー署のショーベリ警視とそのチームの活動を描いたシリーズ物である。三部作として書かれ、2013年現在6冊まで出版されているとのこと。読む楽しみが増えた。魅力的なスウェーデン発のミステリだ。
ストーリー: とある老婦人が入院中、留守宅で不動産関係の男性が旧知の人物に殺害される。そして、犯人は、次々と犯行を重ね、連続殺人の様相を呈してくる。
 ショーベリ警視とそのチームの捜査が続くが、まるきり糸口がつかめないのである。読者は、犯人が幼稚園時代の仲間に深刻な虐めを受け、その復讐と狂気を知らされているが、当局はその関連をつかめないという設定だ。間に、殺人者の日記が挟み込まれ、それが動機を次々に示唆していく。だが最後に近づくまでは、明確な犯人の姿はつかめない、この辺が巧妙に仕掛けられている。
 捜査チームの警官達の性格もそれぞれ個性的で、中でも女警官ペトラのレイプ事件は一つの短編がはさまっているかのごとくの印象で、このミステリの幅を広げている。
 ラストで、とある老婦人と38年前の繋がりもすべてひとつピースとしてあてはまる、その辺が醍醐味だ。
プロフィール

Author:サマンサどら猫
 FC2ブログへようこそ!ミステリ大好き人間ですw-。そして、冬以外はアウトドア系(山登り、ハイキング、ウオーキング、サイクリング、釣り)、日帰り温泉、旅行などの趣味を楽しんでいます。茶トラを飼っていて、名前がサマンサです。卓球やバドミントンも好きで、最近は弓道も始めました。

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