スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

竹田武史「茶馬古道の旅」

茶馬古道の旅 中国のティーロードを訪ねて茶馬古道の旅 中国のティーロードを訪ねて
(2010/04/14)
竹田 武史

商品詳細を見る

 雲南省の最南端からチベットまでの茶を運んだ「茶馬古道」の旅の取材集だ。竹田さんらは、2006年から2007年にかけて7ヶ月取材された労作である。何よりも写真が美しく、見事だ。
 茶の種類で、様々な民族の飲むプーアル茶(普洱茶)、竹筒茶、ミイエエン、アーレイ、甜茶(これは花粉症に効くとドラッグストアにもあるが、特に、黒砂糖、ショウガ、揚げた餅米、チーズが入れてあるのは美味しそうだ)などなどの種類の多いこと。
 そして、樹齢2700年、25メートルの茶の原木の写真は圧巻だ。
スポンサーサイト

ジョー・ネスボ「スノーマン」(下)

スノーマン 下 (集英社文庫)スノーマン 下 (集英社文庫)
(2013/10/18)
ジョー・ネスボ

商品詳細を見る

 ハリーらの粘り強い捜査活動で、徐々に殺害現場や証拠物が発見される。カッティング・ループという凶器も。犯人の巧妙な罠により、スノーマンの正体は二転三転していく。このへんの展開がスリリングだ。そして、ハリーの昔の恋人のラケルや、彼女の今の恋人のマティアス、ハリーの上司のハーケンらが絡んで話を盛り上げていく。
 ラストに近くなると、ハリーと意外な?犯人との対決が待っている。そして全ての謎が解き明かされていくというものだ。

ジョー・ネスボ「スノーマン」(上)

スノーマン 上 (集英社文庫)スノーマン 上 (集英社文庫)
(2013/10/18)
ジョー・ネスボ

商品詳細を見る

 いわゆる北欧ミステリに入るだろう。ノルウェーの作家によるオスロ警察のハリー・ホーレ警部が主人公のミステリだ。これが滅法面白いのだ。息つく暇もなく読めること請け合い。
 突如行方不明になった女性たちの家の前にはスノーマン(雪だるま)があった。これは何を意味しているのか?
 スキンヘッドのいささか強面のハリーは、刑事の勘で、行方不明の女性が多すぎることに気がつく。上司に10人の捜査班を編成し、2ヶ月の捜査を願い出るが、期間は2週間に削られる。この辺り、警察内部の事情などもうかがえてなかなか興味深いのだ。おりしも新人のブラットが配属され、ハリーの相棒として活動することに。
 調べていくと、行方不明者は結婚していて亭主持ちで、子どももある女性であることが判明。そしてスノーマンからの手紙がハリーに届く。これは挑戦状なのか?捜査が進むと、猟奇的な殺人事件であることも明らかとなる。

クリスチャン・モルク「狼の王子」

狼の王子 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)狼の王子 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
(2013/10/10)
クリスチャン モルク

商品詳細を見る

 ミステリとはいっても分類の悩むジャンルである。幻惑的ミステリとでも言おうか。
 アイルランドが舞台で、デスモンドという郵便配達員が、後に人々が「呪われた家」「幽霊屋敷」と形容された異様な光景を発見。デスモンドは、持ち主のモイラ、そして赤毛の娘フィオナの死体を発見する。警官たちはさらにロイシンという娘の死体も見つけることになる。
 一体この屋敷でどんな事件が起きていたのか?その謎を作者は提示。3人の関係性、動機などは明らかにされない。一方、イラストレーター志望の郵便局員ナイルが、郵便物の中から事件の謎にせまる日記を発見。さらに彼が事件を追う中でもう1冊の日記にたどりつくというものだ。
 流れ者の魅力的な語り部ジムの存在と、前述の女性たちとのかかわりが徐々に明らかとなっていく。ジムの語る「狼の王子」の物語が挿入され、幻惑的なトーンをこの本に与えている。

髙村薫「冷血」(下)

冷血(下)冷血(下)
(2012/11/29)
高村 薫

商品詳細を見る

 髙村さんは、三章に分けて書いておられる。すなわち、『第一章 事件』、『第二章 警察』、『第三章 個々人生、または死』である。上巻には二章、下巻は三章が収められている。
 一章では、犯人の戸田と井上、そして被害者の高梨家の人たちの行動と言動が、二章では、相模原北署の8係と相模原署の特4の刑事たちの捜査が描かれている。合田雄一郎を中心とした警察官の視点が主として全体をリードし、警察署の縄張り意識、本庁と所轄との対立と溝なども側面として出てくる。
 下巻では、動機無き殺人に見える殺人犯二人の取り調べから見える生育暦、家庭環境を掘り下げつつ、あくまで冷徹な分析と、合田の視点での展開に冴えがある。合田と犯人の片割れの井上との手紙の交換という手法も使う。
 「冷血」とは、2人の残虐な殺人者たちなのか?それとも、いつ、どこでも衝動的な殺人者になりうる現代人の心の闇なのか?それとも、人間の心の奥底に潜む衝動なのか?考えさせられる。アメリカ映画では、カポーティの複雑な心情も描いており、印象の深い作品だった。

大江健三郎「晩年様式集 イン・レイト・スタイル」

晩年様式集 イン・レイト・スタイル晩年様式集 イン・レイト・スタイル
(2013/11/01)
大江健三郎

商品詳細を見る

 常に「同時代」に真摯に向き合って創作活動をしてこられた大江さんの、「3・11」以後について書かれた小説でもある。

引用

私のなかで
母親の言葉が、
はじめて 謎でなくなる。
小さなものらに、老人は答えたい、
私は 生き直すことができない。しかし
私らは 生き直すことができる。

引用

 ラストの詩でこう呼びかける?のだ。ここに晩年を自覚する作者の覚悟が見てとれると思うのだ。
 主人公は、これまでの小説で登場している長江古義人(大江さんの分身)、そしてアカリ(息子の光)、3人の女たち(つまり、妻=亡き伊丹監督の妹、娘、妹)、塙吾郎(亡き伊丹監督)、ギー兄さん、アメリカ帰りのギー・ジュニアが登場人物だ。
 友人の故サイードの作品と重ね合わせて、3・11の余震が続く中で、これまでの作品(「同時代ゲーム」「人生の親戚」「M/Tと森のフシギの物語」「チェンジリング」「水死」などなど実名で登場)の主題のふり返り、そしてこれからの家族の生き方を模索する形式をとっている。ふり返りの中で、これまでの女性たちの役割についての見直し、伊丹監督との交友と自殺の意味についても考察をしている。
 先祖代々暮らしてきた森のヘリで、アカリと共生する生活を選ぶところに希望を見出しながら、結んでいる。

新野剛志「パブリック・ブラザース」

パブリック・ブラザースパブリック・ブラザース
(2012/10/17)
新野 剛志

商品詳細を見る
 
 新野さんの、いわば青春グラフィティともいえる。新野さんといえば、「あぽやん」シリーズに見られるように、熱血漢の主人公の行動と言動が爽やかな印象を残したが、この作品にも青春のほろ苦さと爽やかさが漂うのである。
 大学生望月智は、応援同好会というサークルに属しているが、実態は応援を盛り上げるコスプレに扮したりしている。彼は生まれて初めての海外旅行(バックパッカーとしての一人旅)をある小さな旅行社に依頼。社員の畑山との軽妙なやりとり(実はあまりにも軽すぎるのだが)も描写される。
 実際に出発するために空港のチェック・イン・カウンターに行く。ここらへんの描写は、さすがに「あぽやん」「恋する空港」での手慣れた?もので、安心して読める。そのまま出国の筈が、カウンターでのトラブルが・・・。つまり、旅行社の父さんと旅行代金の未払いという最悪の結果を知らされる。
 この畑山の計画倒産と詐欺行為の被害が冒頭。そして、無為に過ごす智のまわりで、中学時代からの連れの小宮山翼
、木村彩、絵梨たちとの「現在」と「過去」が交錯しながら話が展開していく。
 特に、過去=荒れた中学時代の想い出:表題の「パブリック・ブラザース」というバンドの結成とその裏事情、ゲリラ・ライブの熱気が熱く伝わってくるのだ。その意味で、思春期の友情と不安定な心の交流の描写に読み応えがあるのだ。 

真保裕一「ローカル線で行こう!」

ローカル線で行こう!ローカル線で行こう!
(2013/02/13)
真保 裕一

商品詳細を見る

 講談社。これは読み進むほどに、愉快で何だか元気が出てくる読み物である。それはエンタメのツボをよくおさえているからだ。真保さんの前作「デパートへ行こう!」に続く作品だ。
 「アマルフィ」「アンダルシア」に見られたような、大使館員や国境を越えて警察官たちが活躍する、国際的なサスペンス・タッチとは違って、むしろ取り残されたローカル線の再生計画にいそしむ人間たちのストーリーである。
 お決まりの第3セクター方式のお荷物の鉄道=ローカル線の、いわば「駅前シャッター通り」と同様な昭和時代からの、いわば赤字に瀕したお荷物をどう甦らせるかというテーマの話なのである。だから、デパートが輝いていた時代のノスタルジーの視点もあった前作の続編なのだともいえるのである。
 最初は、鵜沢哲夫(県庁のⅠ種試験合格の官僚タイプ、もりはら鉄道へ副社長として出向)の目線で、冷静にローカル線の実情と再建計画をとらえ、次第に篠宮亜佐美(地元出身、新幹線のカリスマ・アテンダントから「雇われパンダ」として鉄道社長に抜擢)の目線とその熱い行動へと移っていく書き方が実に巧いと思う。
 この二人に、五木田会長、陣野尚彦、町村かおり、藤井優理子らの個性が絡みながら再生に取り組んでいく。このあたりは手慣れていて期待を裏切らない。そして、単なるサクセス・ストーリーではなく、ある要素をさりげなく入れ込みながら、後半に盛り上げていく手法が面白い。それがこの小説のキモだ。
 そして、ラストに映画的な?テイストも用意してあるといった具合だ。

原淳一郎「江戸の旅と出版文化」

 三弥井書店。『寺社参詣史の新視角』と副題が付いている。
 江戸期に伊勢参りをはじめとする寺社の参詣の旅が盛んとなったが、筆者は出版文化が果たした役割を中心に論じている。各章は、

引用

第一章 近世の宗教と旅の大衆化
第二章 寺社参詣と地誌
第三章 寺社参詣と往来物
第四章 寺社参詣と絵図
第五章 寺社参詣と紀行文
おわりに

引用

となっている。
 特に、一章で、旅の大衆化のために御師(おし)とよばれる、寺社と檀家の間を取りもつ役の存在を丁寧に説明されている。典型として、熊野御師と伊勢御師をあげ、近世になると伊勢御師が勢力をもってきたことを書かれている。さらに、財政事情から寺社への幕府保護策が薄まると、「勧化」「開帳」富くじ・富付」による寺社の努力、名所を生み出す要因となった国学と復古神道、古典研究などが紀行文を大量に生み出したとする。
 二章以下はそれぞれの出版物の詳細な分析が写真と共に分かり易く書かれている。
江戸の旅と出版文化―寺社参詣史の新視角 (シリーズ日本の旅人)江戸の旅と出版文化―寺社参詣史の新視角 (シリーズ日本の旅人)
(2014/01)
原 淳一郎

商品詳細を見る

大倉貴裕「福家警部補の報告」

 東京創元社。福家警部補シリーズの第3作にあたる。同名の「挨拶」(テレビ放映中)、「再訪」に次ぐものだ。この本には、3つの中編が収められている。
禁断の筋書(プロット)』: 河出みどりが三浦真理子を殺害する。かつて二人は、無名時代に同人誌を出していたが、現在では、みどりは売れっ子の少女漫画家、真理子は遣り手の編集者。この二人の対立から殺人へ至る行動を冒頭で描く。巧妙なアリバイづくりと証拠隠滅を図るみどりに、福家が執拗に食い下がっていく。意外に福家はみどりの熱心なファンで、その蘊蓄がうかがえて面白いのだ。
少女の沈黙』: 珍しく元ヤクザとヤクザが多数登場する暴力的なテイストの中編だ。元ヤクザの菅原が非道な誘拐を企てた昔の仲間二人を正義感から惨殺する、血みどろのシーンから始まる。福家は、例によって冷静に菅原をマークし、アリバイ崩しを徹底する。福家の思いがけない度胸と推理に脱帽だ。ラストは爽やかな味わいがある。尚、テレビの福家(檀れいが演じている)と違い、ここでは彼女は「縁なし眼鏡」となっていて、金欠に悩み、忘れ物だらけの1面も披露している。
女神の微笑』: 銀行を襲撃する計画を立てた3人組の男たちが、ある老夫婦の仕掛けた爆弾によって殺される。この謎の老夫婦を福家は綿密な捜査によりつきとめ、彼らに肉薄する。完全犯罪をもくろむ夫婦と福家との知恵比べが見ものだ。
 ラストで、次の作品につながるセリフがあり、楽しみだ。次回作に大いに期待する。

髙村薫「冷血」(上)

冷血(上)冷血(上)
(2012/11/29)
高村 薫

商品詳細を見る


 この題名から思い出すように、カポーティの「冷血」にヒントを得ていると思われる。カポーティは、あの映画「冷血」でも描いていたように、いわば動機無き殺人事件を徹底解明すべく犯人に肉薄して、この小説を書いた。
 髙村さんは、二人の殺人犯、井上克美と戸田吉生の出合い(出合いというには、たった一度のメールでの掲示板でのやりとり)から始まって凶行に至るまでをこの上巻で淡々と表現していく。このまさに現代の不条理な行動を、小説としてどう描くかということへの挑戦をしているように思えた。
 戸田吉生:ムショを出て直後の男。人生の三分の一がムショ暮らしで、今は朝刊配達のバイトで食っている。三重県の四日市出身。歯槽膿漏の激しい痛みに再三悩ませられている描写がある。 井上克美:ムショ歴3年。ヤクザと族に絡まれ、愛車を壊される。土建屋のせがれで、ヤク中の姉がいる。
 一方で、高梨家: 山の手に住まいがあり、大病院の口腔内科医の父、父の代からの開業歯科医院を切り盛りし、自分の研究にも情熱を持つ母、そして筑波の付属に通う中学生の娘と小学生の弟の家庭がある。
 戸田と井上が出合って、そのまま一連の行動に出る。静かな住宅街のATM荒らし(物音に気づかれ失敗)、コンビニ強盗を連チャンで繰り返す。いわば衝動的な面がある。そして土地勘のある井上とともに、高台の高梨家に焦点をあてて押し入ることにする。強い動機と計画性、残虐な衝動は一見したところ無いようにさえ思えるのだ。
 しかし、留守宅だと思って押し入ったところに起きてきた妻から銀行のパスワードを聞き出して殺害、夫も惨殺。さらにこどもたちも冷酷に殺害してしまう。
 この一連の行動に意味があるのか?下巻では、犯人二人の生い立ちや内面を中心として描いていく。

「バード」

 「バード」と呼ばれたチャーリー・パーカーの自伝的映画。まさにジャズがたっぷりだ。監督はクリント・イーストウッド。この人の監督作品はそれぞれ味があり、駄作はない。例えば、「ミリオンダラー・ベイビー」よかったねえ。「ヒア・アフター」も印象に残った映画だった。日本では3・11の津波と封切りが重なったので、不幸な作品ともいえるが、あの迫力は凄かった。
 バード(フォレスト・ウイテッカー)と妻チャン(ダイアン・ヴェノーラ)との生活を前に推しだし、彼女との出会いと語らいを中心に組み立ててある。そこから自ずと二人の人生が浮き彫りになってくるという構成で、迫力たっぷりだ。ウイテッカーの何とも、甘えたような、すねたような目と表情がいい。麻薬に溺れアル中であり、独自の演奏スタイルにこだわるバードの酒場でのライブの雰囲気は心を打つ。
 育児に追われ、夫婦生活も破綻寸前の現在から、セレナーデを奏で、白馬に乗って妻にプロポーズする場面は最高だ。そして「ビーパップ」を深南部へ持ちこみ、「アルビノ」ことレッドとの競演でブルースを歌ったり、パリでのバードの演奏もしっかりと描いている。ボロボロの体で生きたバードのラストの場面は泣けてくる。
プロフィール

Author:サマンサどら猫
 FC2ブログへようこそ!ミステリ大好き人間ですw-。そして、冬以外はアウトドア系(山登り、ハイキング、ウオーキング、サイクリング、釣り)、日帰り温泉、旅行などの趣味を楽しんでいます。茶トラを飼っていて、名前がサマンサです。卓球やバドミントンも好きで、最近は弓道も始めました。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。